「中国茶インストラクター講座」11年目の気持ち

日本初の「中国茶インストラクター」講座を始めたのは、1999年のことです。
おかげさまで11期を迎えることができました。

プロにとって必要な、理論・技術やテイスティングの能力、茶芸、中国茶テーブルセッティング、などのスキルを磨き、さらに現地研修を行い、歴史文化・実践技術などを踏まえた、土台を、1年間かけてしっかりと作り上げていきます。

受講生一人ひとりの個性に配慮しながら、能力を最大限に伸ばしていけば、それぞれがオリジナリティーを持った中国茶のプロになれるカリキュラムであると自負しています。実際、卒業生は、各自さまざまな持ち味を活かし、各方面で活躍しています。

 土台さえしっかりしていれば、あとは自分の努力次第で、夢は叶えられると思います。

 中国茶を勉強する上で一番大切なのは、外国語を勉強する時と同じように、いかに効率よく土台を作るかということです。

テイスティング技術、オリジナルの茶芸演出、現場の知識などについては、短時間集中の速成法は残念ながら存在しません。例えば、品種別、季節別、ランク別、添加物判断などのテイスティング能力については、短時間に集中してやることは、結果的に学習効果はうすく、長い目で見れば、効率がよいとはいえません。

 短期集中で取得できるものは、風邪薬の抗生物質のようなもので、短時間で効きますが、根本的な改善(学習)に良いとはいえないでしょう。

毎月一回のペースで授業を受け、「勉強->復習->チェック」のサイクルを何度も積み重ねることによって、本当の実力が自然に身につき、知らないうちに上達していきます。

また、個性を生かした、オリジナルの中国茶テーブルセッティングと茶芸演出については、やはり自分でじっくりと構想を練り、考える時間が必要です。その経験が、将来、茶会やイベントの茶席演出に役に立つことになるのです。

 中国茶テーブルセッティングはお客様の第一印象を与える大切さがありますが、なかなか教えているところはありません。そして、定番式と自分流の茶芸もここから生まれます。

最後、茶芸と茶席を判定してもらうのは、私だけではなく、台湾、中国、シンガポール、香港など様々な優秀な先生で、それぞれの立場や専門から客観的な評価が得られることは貴重な勉強でもあります。

 「中国茶インストラクターコース」を卒業する時には、少なくともアジアに通用する茶芸に仕上げていただくことが目標です。そういったことから、この「中国茶インストラクターコース」の期間は、どうしても一年間という時間が必要となります。

5代目の私も子供の時代に職人から厳しく教えてもらいながら、さまざまな勉強をし続けてきました。今でも、毎週10冊以上の本を読み、自分の実力をさらに高めるためにも、定期的に文章を発表します。

教える立場からみても、中国茶インストラクター講座のような高度な授業のレベルを維持し続けることは容易ではありません。常に最新の情報や知識を備えるために、毎月たくさんの論文や現場の情報を勉強しなければいけません。実際、期を重ねるごとに、中国茶市場の拡大とともに、授業の内容もだんだん難易度は上がっていき、受講生に配る教材の数も多くなってきました。

また、受講生一人一人がそれぞれに適した茶芸と茶席を作り、茶葉や茶器への審査能力を高めるために、少人数で授業を行うことにこだわっています。

 さらに、本と雑誌しか見ない人は、本物のプロにはなれません。それはいくら文章力があっても、現場の真実を目で正しく確かめられないと、本物のプロとは言えないからです。

年春秋2回に華泰が開催するお茶作り旅行は、単なる観光旅行みたいものではありません。本や雑誌から得た知識をもう一度現場で再確認して、生産農家・工場、茶館など現場の声を直接に聞きます。写真や資料を収集するチャンスもあるし、自分で頑張って一からお茶を作る珍しく貴重な経験もなります。お茶を100%知ってもらうため、旅行中にもたくさんお茶の講義を行います。

 中国茶インストラクターと一緒に勉強し、一緒に成長していくというのは、11年前の気持ちと全然変わっていません。
11年目、内容をさらに一新して、新しい試みをするつもりです。

是非、一緒に奥深い中国茶世界を旅しましょう。

講師担当 林 聖泰

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