第四章 ≪買茶理性 喝茶感性≫

 「お茶と茶器を買う時は理智にして、お茶を味わう時には情感を入れて楽しもう」茶葉と茶器を買う時、店側の宣伝や、かたよった不十分な情報によって、お客様は迷い、上手な買い物ができないケースもあるようです。
お茶を上手に買うには、店側のアドバイスを聞きながらも、基本的な中国茶の知識を持って、自分の好み、予算に合わせて、理性的な判断を下さなければいけません。
最近、同じ円盤状に固められた“陳年プーアル茶”ですが、お店によって、10年もの、15年もの、30年もの、50年ものとそれぞれに説明が違う、というお話を聞きました。
誰が、本当のことを話しているのか、という判断は、単に店側の物語を信じるだけではなく、客観的な茶葉の香りと味や、資料文献の事実を知った上で、納得して購入する方がより正確で、中国茶の奥深さを知る機会にもなります。

 例えば1950年代のプーアル茶があるとします。
50年代ならその年代のその時の、原料配給の茶葉の特徴があり、仕上げたお茶の保存上における、正しい保存に従って陳化の香りと味の特徴が必ずあります。外観から、単なる外包装の紙で判断するのは大変危険なことです。やはり飲んだ時の香りと味で聞き分けるのが、一番だと思います。これが理性を持って、上手な買い物をする一番の方法だと思います。しかし、一旦手に入れたお茶があれば、できる限り自分の感性と創造力を活かして、より美味しい、味と香りを引き出せるようお茶に心を向ければ、至福のひとときを楽しむことができるはずです。

美味しいお茶を飲めるのは、単なるお茶の力だけではなく、水やその場の雰囲気、その時の気持ちの内在要因によって、随分変わります。

完璧なお茶は極めて少なくて、それなりの金額がします。買ったお茶を、鑑定士のように不足な部分を探るように飲んでいたら、お茶を飲む楽しみが台無しになるでしょう。
手元にあるお茶を最大限に美味しくいただくために、よりソフトな、より感性的な視点をもつことは大切なことだと思います。お茶には、批判的な冷たい気持ちより、暖かい感性が相応しいと思います。
店主 林聖泰

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