日常の飲み物として4000年の歴史を誇る中国茶も、時代の変化とともに、入れ方、楽しみ方が変化してきています。
明代から小さな茶杯を使った工夫茶器が生まれ、アロマの香りの効能が注目され、リラックスを求める現代人のために、聞香杯セットが誕生しました。
また、お茶の生産技術が上がり、より質の高いお茶が作られるようになり、茶器もその変化への追求を続けています。
より良い味と香りを表現するために、焼成温度や土質、造型や熱の伝導性の研究が日夜追求されています。
お茶作りの現場では、もっと上品な香りと味のお茶をつくるために、生産者が自然とのバランスを取りながら、土作りや生産技術の追求に一生懸命頑張っています。
こうした供給側の努力があり、われわれ消費者は、正しい入れ方をすれば、最高の香りと味が楽しめるという恵まれた環境にあります。
ところが、最近日本では、産地が違う、たとえばベトナム産の「凍頂烏龍茶」や、「安渓鉄観音」などが平気でデパートやスーパーに陳列されています。富士山が日本にあるように、凍頂烏龍茶は台湾でしか生産できないのです。台湾のあの大地からでしか、産み出せないお茶なのです。安渓鉄観音なら、安渓の「色種」ではなく、本場福建省安渓の「鉄観音」品種が本物なのです。
有名メーカー、問屋でも、間違った表示をしています。商業主義によるものなのか、正しい知識がないためかどちらでしょうか。心配するのは、“bad coin drive out good coin”。(悪い貨幣が良い貨幣を駆除する)本当に、汗を流して一生懸命に品質にこだわる生産者は、一番気の毒です。チャンスがあれば、一度一緒に烏龍茶を作れば、お茶作りの大変さが理解できるはずです。
ぜひ消費者の方には、その土地の大地が産み育てる茶葉とその茶葉を生かす、長いお茶作りの知恵が作り出す、本物の中国茶を見極めてほしいと思っています。本物の力のある中国茶は、心身を癒し、感動さえあたえてくれます。綺麗な広告や文章でつくられた虚のイメージに、
惑わされないでください。安いということだけが、お茶の魅力ではないはずです。
華泰の800m級の凍頂烏龍茶、1500m級の阿里山烏龍茶、2000m級の梨山烏龍茶は、今年も政府主催の「中茶杯」で、賞を受賞しました。これで、4回連続です。品質、産地、安全、すべてお墨付きです。
一度、少量でも100%本物の、凍頂烏龍茶を味わってみてください。
参考までに、ベトナム産の凍頂烏龍茶と、台湾産の凍頂烏龍茶の違いを書き上げましたので、区別の参考にしてください。ベトナム産の凍頂烏龍茶は、本物の台湾産の凍頂烏龍茶のような、余韻と深い味わいが基本的にはありません。もし、自分で買った“凍頂烏龍茶”がよじれが少なかったり、茶葉が薄かったり、黄色っぽく、苦味、あるいは青臭かったりしていたら、
“これは台湾産の凍頂烏龍茶ではないな”とちょっと考えてみてください。
もしも、そのお茶が美味しいと思えなかったら、もう一度、本物と思える凍頂烏龍茶を見つけて、味わってみてください。
①外観:外形の揉捻技術によって、丸さとよじれの程度が違います。
台湾産はしっかり揉捻され、深緑色。
ベトナム産は、均一性が少ないです。色はやや赤みを帯びています。
②香り:作る技術と習慣によって違いがあります。
台湾産は青臭さが感じられなく、清香な香りがあります。
ベトナム産は、発酵が足りなくて、青臭い香りをよく感じます。
③味:気候と土壌の関係の違いによって、味わいが違います。
台湾産は果実のような甘味と花のような軽やかさがあります。
ベトナム産は“燥味”(喉越しがザラザラ感じる)。
天侯が乾燥しているため、雑味と苦味が強くでます。
④茶ガラ:湿度と土壌の水分が足りないために、ベトナム産は茶葉の芯が
紅色で、全体に黄色っぽいです。基本的に茶葉は薄く、軽いです。
⑤品種:台湾産は凍頂烏龍茶は“青心烏龍種”がメインです。
ベトナム産は“金萱種”がメインで、青心烏龍種も栽培されています。
しかし、金萱種の方は茶葉がより細く、苦味と渋みが強く、
青心烏龍種の方は、青臭さが強く感じるという特徴を持っています。
店主 林聖泰