紫砂急須①:「孟臣壺」(もうしんこ)と「梨型壷」

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 華泰茶荘では、昨年急須を取り上げた「景徳鎮・宜興古今陶磁器の美」のイベントを開催しましたが、その後の工房との話し合いで話題にあがったのは、「土へのこだわり」と「伝統的な製法」でした。現在、中国では良質な土が採掘できなくなり、個性のない機械による大量生産の急須が主流になってしまいました。しかし、お茶を美味しくいれるという観点からみれば、それらの観光客向けの急須の普及は非常に残念なことであり、なぜならばお茶の香りと味を台無しにしてしまうからです。これが、中国茶のプロ、華泰茶荘が手間とコストをかけ、開発にこだわる理由です。
 華泰工房では、160年の歴史を持つ老舗がその経験を生かし、「天然の素材にこだわり、使いやすく、より美味しく入れられる」茶器を目指し、12年前から日本向け商品の開発が続けられています。そしていよいよ、2006年度開発発表予定の、宜興急須の第一弾作品が入荷しました!

 包装を空けたとたん、その作品の出来の素晴らしさに、驚きと共に思わずため息がもれました。久しぶりに味わうドキドキ感です。半年を費やし作られたこれらの作品は、宜興急須の原点にこだわり、同時に老舗華泰茶荘の経験を生かして、使いやすさを徹底的に追求し、お茶との相性を十分に考慮して誕生しました。

 今回のテーマは、「男気」
 今までの開発では可愛らしい形や女性らしいものが主流でしたので、父の日を前に、店主が自分でも欲しく、特に気に入っている古典的なタイプの梨型急須をいくつかご紹介したいと思います。

 「孟臣壺」(もうしんこ)
 孟臣壺は宜興紫砂急須の中でもとても人気のあるもので、多くの現代作家がこの急須作りにチャレンジしています。今回華泰工房で再現したのは、店主個人も珍蔵している約200年前の「清代早期梨型壺」の現代復刻版です。10数年以上ねかせた宜興紫砂の材料を厳選し、ベテラン職人が古代の製法に忠実に、ひとつひとつ手作りで焼き上げたものです。形、つや、手触りなどがひとつひとつ異なり、それぞれに個性が光っています。実にいい仕事をしているなあ、といった感じですね。

現在、本当に質のよい宜興の急須は、この2~3年で、人件費の高騰と中国国内販売の拡大により、生産コストが50~80%も上がってしまいました。店主が珍蔵している200年前の清代のアンティーク急須は残念ながらお譲りできませんが、今回特別に再現した三種の土の急須を限定数ご提供させていただきます。

① 紫泥 梨型壺
 宜興第一工場全盛期の原材料を100%使用しています。土は、不純物を濾過、沈殿、熟成することで、良質の原材料となりますが、この急須の原材料は10年以上寝かせた非常に良質の土。土の中の鉄の結晶や反射のつやが見ることができ、手にとると人肌のようになめらかで、温かさまでが感じられます。
 正統派がお好きで、宜興紫砂の素晴らしさを実感したい方におすすめです。台湾の凍頂烏龍茶や安渓鉄観音、黄金桂など、清香型の烏龍茶に最適です。
♪♪「紫泥梨型壺」の商品ページへ

② 朱泥 梨皮「梨型壺」
酸化鉄の成分が多い朱泥の原料に、特別に天然の砂を加え、特徴ある手触りの表面を形成しました。つやが出やすいので、養壺が楽しみやすい急須です。雑味を取り除き、味の甘さを増すなどの特徴があり、茶通にとっては見逃せないお宝のひとつともいえます。木柵鉄観音、焙煎が重めの烏龍茶、陳年茶に最適です。
♪♪「朱泥梨皮梨型壺」の商品ページへ

③ 朱泥 薄胎「梨型壺」
 宜興でもなかなか手に入らない、非常に生地の薄い特注品。焼き上げの成功率は一般の急須の半分以下といわれています。重さも普通の急須の半分以下しかなく、重い急須が苦手な女性に方にも扱いやすい急須です。透明感ある清らかな香りを引き立て、特有の渋みを抑えられる構造と材質ですので、高山烏龍茶との相性が抜群です。お手元に梨山、大禹嶺などの高級高山烏龍茶がある方、高山茶がなかなか美味しく入れられないという方は、ぜひ一度お試し下さい。びっくりするほど美味しくなると思いますよ。
♪♪「朱泥薄胎梨型壺」の商品ページへ

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 同じ梨型の急須でも、素材と焼き加減が違うと、相性のいい中国茶も異なってきます。
 使用する水、お茶の質と同じように、ふさわしい急須を大切に選ばなければなりません。
 中国人はよく、「水は母、壺は父」と言いますが、一度よい本物の紫砂急須を持つと、中国宜興紫砂の魅力を実感していただけると思います。

 美味しい中国烏龍茶をお楽しみいただくため、本物の最上質な原料にこだわり、「華泰工房」が特別提供する新作をぜひお試し下さい。

★詳しくは《紫砂急須のHP》へ
                                     店主 林 聖泰
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