紫砂急須②:緑泥神韻壷(りょくていしんいん)の物語

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 これまで、原料の土の大切さについて、何度かお話してきましたが、今日はその中でも「墨緑泥」についてお話したいと思います。ひと言に紫砂といっても、その地層によって、朱泥、紫泥、烏泥(黒泥)、本山緑泥(段泥)、墨緑泥などに分けられますが、なかでも墨緑泥は希少で、採石するのもとても危険な作業であり、多くの事故が伴うため、墨緑泥の急須にはなかなか出会うことが出来ません。

 また、5年前に最も有名な黄龍山の鉱坑が閉鎖されたことで、宜興紫砂急須の大量製造時代も幕を降ろすこととなりました。今では、新しい紫砂の採取が禁止となり、すでに採取された紫砂だけしか使用できなくなったため、本物の天然紫砂は非常に貴重なものとされています。華泰工房では、10年前から様々な土をコレクトし、その貴重な土を計画的に使ってきました。土が貴重なだけではなく、最近では、宜興地域の作家達の人件費が50~100%も上昇し、またブームの追い風を受け、生産コストはますます高騰しています。実は、今回の作品は、生産者側に何度も粘り強く交渉を重ね、今までの華泰茶荘価格でのご提供へとこぎつけたのです。

 今回、店主がこだわりを貫き、二年の構想を練って作り上げたのが、新作・緑泥神韻壷です。10年以上寝かせた、本物の墨緑泥の生地に、大粒の砂を混ぜて、特殊な梨皮を作り出しました。手作りで、2回以上焼き上げた、非常に手間をかけた逸品です。表面に浮き出た砂は、独特の趣があります。手作りの急須はまるで生きているかのようにひとつひとつ違いますが、この緑泥神韻壷は特に、浮き出た砂が豊かな表情をもち、より個性のある急須に仕上がっています。

 もちろん、実用性にもこだわりました。力の弱い女性でも扱いやすいように、蓋部分のつまみも柄も、とても持ちやすく設計されています。また、円形のデザインは初心者でも使いやすく、水切れがよく、急須に水が残ることがありません。茶漉し部分も丁寧さ、密閉度の高さ、ともにベテラン職人による手作りの技そのものです。最高品質の原料を使い、手作りで丁寧に作り、1200℃前後の高温でしっかりと焼きしめているため、土の匂いはまったくせず、すぐにお使いいただくことができます。また、養壷すると、つやが出るのが早いのも特徴のひとつ。“急須を育てる”喜びをたっぷりとお楽しみ下さい。

 サイズは、親子のような大小2サイズをご用意しました。小サイズは、「華泰オリジナル・ミニ携帯用竹茶盤」に収納できる大きさです。茶杯2杯分の容量の、特注ミニサイズ。野点や旅の友にもぴったりです。店主も出張や仕入れ旅の際は、必ずこのセットを連れて出かけています。
 この緑泥神韻壷と相性のいいお茶は、安渓鉄観音、黄金桂、本山、毛蟹、佛手などの、福建省南部の清香型烏龍茶。緑泥神韻壷でこれらのお茶を入れると、より香りが高くたち、味わいに甘みが増します。お茶の良さや個性を最大限に引き出してくれるこの緑泥神韻壷、こだわり店主が自信を持ってお勧めする最新作です。

                             店主 林 聖泰
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