正しい知識!!~文山包種茶(清茶)の話~

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 最近、文山包種茶や文山地区に関する、間違った情報が流れていて愕然としました。
由来や文山地区の意味や、海抜など、不正確な情報が堂々とネットに載せられていたのです。
中国茶・台湾茶が大好きな皆さんには、正しい知識や情報を伝えていっていただかなくてはなりません。

◆ 文山の意味と、文山包種茶美味しさの秘密

 文山包種茶の文山は、「文山地区」を指し、日本統治時代の「文山郡」に由来します。新店、台北縣石碇郷、坪林郷、南港、双渓、格頭、深坑、烏来、景美、木柵、猫空などの地域をいいます。
 それに対して、「台北市文山区」は台北市の中の一つの区で、行政区を指したもので、前出の地域の中では、景美、木柵、猫空のみが、「台北市文山区」に含まれます。

 文山地区は、中央山脈の北麓に位置し、標高は500~600m。
 一番高いところでも、800m以下です。
 900mと紹介しているサイトがありましたが、それは間違いです。

 そのため、高山茶のような香りこそありませんが、それでも、豊富な年間降雨量と良質な土壌に恵まれ、良質なお茶が生産できます。
 烏龍茶の中でも、香りが一番上品な文山包種茶(清茶)にとって、時間をかけて少しづつ発酵作業を進め、一歩一歩ゆっくりと出来上がった天然の香りは、まさに大自然の恵みと職人の技によるもの。
 また、重い焙煎ができない包種茶は、繰り返し焙煎のきかない一度きりの勝負で、職人にとっても技の見せ所です。

◆ テイスティング技術がものをいう、文山包種茶(清茶)購入

 文山包種茶(清茶)のテイスティングには、外観、水色、香り、味、茶殻の、5つの要素があげられます。
 外観には、田うなぎの皮のように斑点がある、軽くよじれている、といった特徴があります。また、水色は透明感がある、淡い黄緑色で、香りは蘭花や野生のジンジャーの花、金木犀などを思わせます。味には甘み、深みと広がりがあり、茶殻の茶葉の大小が均一で、柔軟かつ葉肉に厚みがあるものが良いとされています。
 テイスティングする際には、体調の管理に気を配り、タバコやお酒、調味料などは一切口にせず、正しい官能審査を行えるよう心掛けます。こういった、テイスティングがしっかり出来てこそ、上質の文山包種茶(清茶)を購入すること出来ます。

 梨山をはじめ他の多くの地域では、生産コストによって価格が決定される風習があり、価格は比較的固定されています。それに対し文山では、仕入れ側の信用度とテイスティング力によって、価格が大きく変わってくるのです。実はこれは文山地区の特徴とも言えます。

 バランスよくテイスティングするため、三段階に分けて香りと味を確かめます。つまり、熱いうちに香りを聞き、少しおいてからふたたび聞き、覚ましてからまた聞きます。味も、熱いうち、少し置いてから、冷めてからの三段階において味わいます。上質なものは、花香や蜜香に富み、刺激のある青臭さ(菁味)は感じられません。発酵や殺青温度が不完全だったり、原料が柔らかすぎたりすると、青臭さが出てしまうことも考えられます。

 あるサイトで、「腥味」(動物の肉や魚などの生臭さ)という言葉が使われていて、驚愕しましたが、この言葉をお茶に対して使うことは100%ありえません。

★この他にも、気になる点を華泰茶荘のQ&Aコーナーにまとめてあります。
   役に立つと思いますので、興味のある方はのぞいて見て下さい。
   新しいQ&A(茶葉)へ
 厳しい指摘かもしれませんが、正しい知識を伝えば良いと思います。
                          店主 林聖泰

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