%PDF-0-1
華泰茶荘10週年記念の挨拶 | 華泰茶荘

華泰茶荘10週年記念の挨拶

 おかげさまで、華泰茶荘が日本に店をオープンして、10年目を迎えました。
 これも皆様のあたたかいご声援のおかげと、心から感謝いたしております。

 華泰茶荘は台湾で160年の歴史があります。
 1842年創業の林華泰茶行はかつて、台湾政府より“台北百年老店”として表彰されるという栄誉に輝きました。
 私は老舗の五代目として、外国の地・日本で中国茶事業を開拓する道を選びました。老舗の看板の重さをしばしば感じることがありますが、こだわりや勉強の姿勢を忘れずにここまで頑張ってきました。
 このこだわりの姿勢は、今は亡き祖父から受け継いだもののひとつであります。
 華泰茶荘を大きく育て上げた祖父は、14歳から茶の仕事にかかわり、99歳まで現役で頑張り続けました。それはまさに、お茶に捧げた人生と言っても過言ではありません。
 信用を何よりも大切にし、頑固なまでに品質にこだわった祖父…。祖父にはいくつかの伝説が残っています。
 かつて、台北が大雨に見舞われ、街の半分が水没するという大被害を受けたことがありました。もちろん、たくさんの茶葉も水に浸ってしまいました。ほとんどの業者は、茶葉を再び乾燥させるという手段をとったのですが、祖父はなんと、100万元以上もの茶葉を廃棄処分にしたのです。当時の100万元と言えば、ビル一棟が建ってしまうほどの大金です。
 そんな祖父を多くの人が不思議がり、中には笑う人もいましたが、祖父は“金よりも信用が大事だ”といって、こだわりの姿勢を曲げませんでした。
 こうして、ゼロから再スタートしたことで、たくさんの方からの支援を受け、また名声を得る結果につながったのです。
 合理な価格・高品質にこだわり続けた祖父を人々は「茶米阿公」※1「茶王」と呼びました。「南坤海 北華泰」(南に坤海※2、北に華泰あり。)といった言い方も生まれました。

 祖父は手で少し茶葉をさわっただけで、その品質が全てわかってしまうほどでしたが、それでも毎日が勉強の日々だと言い続けていました。まさにその通りです。

 一年や二年では茶のことは到底勉強しきれません。
 それどころが、深くかかわればかかわるほど、茶がどんなに奥深いものであるかを実感します。 毎年数回、自ら茶作りにチャレンジしていますが、作れば作るほど、茶の難しさがわかり、謙虚になっていくのです。私も、果てしない勉強の道を歩んでいくつもりです。

 また、良いものを仕入れるためには、テイスティングがとても大事です。テイスティング力を高めるため、私の生活の中には、お酒もタバコも一切存在しません。これは祖父から三代に渡り続いています。人によっては、人生の楽しみが減ってかわいそうに…と思う人もいるかもしれません。でも、老舗の看板を背負うものとして、このこだわりは価値のあるものだと信じています。

 10年前の中国茶市場と比べると、ブームも一段落し、その人気が定着しつつあります。
 さらに、中国茶を皆さんの日常生活の中に取り入れていただけるように、今年は、茶こし付き「華泰エコ水筒」を開発いたしました。
 人にも地球にもやさしく、いつでもどこでも美味しいお茶を楽しめるように…、そんな発想から生まれた大ヒット商品です。
 また、茶葉の品質や安全性に関するこだわりも忘れていません。華泰茶荘自社の茶畑、契約茶畑では、厳しい茶園管理を行っています。各茶農家に、原料自主検査を受けてもらい、さらに輸出時に華泰茶荘が出荷単位別の検査も行っています。このように、ダブルチェック体制を徹底することで、最近国内外で問題となっている生産履歴使いまわし問題や、他の無検査の生産畑とのブレンドといった心配は、まったくございません。どうぞ、安心してご利用くださいませ。

 文化面においても私の夢は広がります。
 さらに中国茶文化を普及させていくべく、中国政府と協力した中国茶芸師養成講座、中国茶インストラクター養成講座を開催してきました。
 今年は、中国茶藝師準備講座という、新しい講座もスタートさせました。海外での茶文化イベントにも参加が決まっています。

 現在、私は、茶葉製造者、販売流通のプロ、中国茶教室の教師、協会の普及活動など、いろんな活動をしています。それぞれの観点は少しずつ違いますが、お茶を愛する気持ち、お茶に謙虚に向かい合う気持ち、生涯勉強の姿勢はすべて同じです。

 今後も、皆様の信用を第一に考える老舗の看板を守っていくため、日々勉強を重ねていきたいと思っています。今後もよろしくご支援のほどお願いいたします。

                                       店主 林 聖泰
-----------------------------------------------------------------------------
※1 茶米阿公(デビアゴン)… お茶にはとことんこだわるが、普段はやさしくて人気者のおじいちゃん
※2 坤海…南部最大の茶商

Comments are closed.