日本では暑くなってくると、怪談話や心霊現象の話題が出てきますが、台湾や中国では、お盆の前の特に暑いこの季節に、頻繁に話題にのぼるのが、占いです。
 自分の将来を占うことは、怪談話みたいな恐怖を感じるから(?)かもしれません。

 中国古来から伝わる東洋の占いは、様々な要素から宇宙の動きを見る統計学的なもので、生まれ年、生まれ月、生まれた日、時間、性別、閏年、閏月などを一番厳密な計算式にすると、250万通りもの結果が導き出されるといわれており、大変に複雑なもの。

 面白いのは、「易経」「四柱推命」「紫微斗数」など、様々な占い古書がある中、西洋のような大予言がほとんどないことです。
 恐らく中国人は、社会全体のことより、自分や家族、友人などの身近なコミュニティへの
関心のほうが高いのでしょう。

 中国や台湾では、何かに直面したとき、西洋人が聖書の教えを乞うのにも似た感覚で占いが行われます。それだけ占いが生活に根付いていて、ある意味においては宗教的な側面も持つわけです。
 人間に何かを指摘されるより、自然・宇宙の偉大な流れにより客観的に導かれる占いの教えに従うことのほうが、抵抗がなく受け入れやすいものなのです。

 自分の知らない顔や、深層心理、欠点など、占いによるアドバイスは、心を豊かにし、向上していくための手がかりとなり、また、心理カウンセリングと同じで、乱れた心理を分析することにより、一度心を落ち着け、バランスを整える、という意味もあります。

 人生は、常に何かを選択しなければならない場面の連続です。
 様々な味と香りを持つ中国茶と同じように、占いも、さまざまな提案の中から、自分が何に耳を傾け、実行していくかということが重要になります。

 迷信とはねのけてしまうのではなく、一度受け入れ、冷静に考え直してみれば、何か新たな発見や、進むべき方向がみえてくるかもしれません。
                                     林 聖泰

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