東方美人(Oriental Beauty)
18世紀から台湾が中心に生産、輸出していた超高級烏龍茶の代名詞ともなっている伝統的なお茶で、
「フォルモサティー」の異名を持ちます。“Formosa”とは“麗しの島”と意味の台湾の別名で、
現在でも欧州諸国では台湾のことを“TAIWAN”ではなく“Formosa”と呼ぶことがあるそうです。
ヨーロッパにおける台湾を一躍有名にしたのがこの“東方美人茶”=“フォルモサティー”なのです。
おもな産地は台湾北部の山地で、主な品種は青心大パンと青心烏龍です。
最高級東方美人茶の茶摘の原料は、ウンカに吸われた茶樹の茎から出た新芽と茶葉です。
穴だらけに噛まれた茶葉ではありません。
熟成した果物の様な独特な香りと蜂蜜の様な甘さは、欧州諸国で大評判となった
この「絶世美人」の魅力ともいえます。
もちろんウンカが噛んだ茶樹は無農薬の状態でなければなりません。
200年前から台湾人が現代の「エコ・無農薬」のお茶を作る概念を持っていたということは、
意外な柔軟性と先見性が感じられます。
同じ茶畑でもウンカの被害を受けた原料からは高級東方美人茶が作られ、
被害のない原料からは一般の条状包種茶や球状烏龍茶がつくられます。
柔軟性のある生産方法により、生産者にとっては効率がよく、
お客様はそれぞれ個性ある“作品”を愉しむことができます。
それが大自然に調和したやり方というのが素晴らしいですね。
毎回、東方美人を味わう時には、ウンカの被害に負けず発想の転換で
このお茶を台湾のお茶の代名詞になるまでにした、
先代の茶人達の先見性と度胸を思い起こさずにはいられません。
お茶だけでなく、日々の生活の中での仕事や人生のさまざまな場面において
地道な努力とこの柔軟性・先見性があれば、何か新しい発想を生み出すことが
できるのではないかと思います。
東方美人の茶畑は、無農薬でも、放置しておいてよいというわけではなく
手で除草しないといけなかったり、年に2,3回は茶樹の間にある雑草を刈り取り、
土に戻す施肥の手間も必要です。
化学合成除草剤などを一切使わず、手作業で、通常の何倍も手間隙をかけた結果、
良質な東方美人茶を作ることができるのです。
美味しい中国茶は、大量生産化の工業製品ではなく、農家の日々の努力の結晶と大自然の恵みにより
もたらされる芸術品です。
いくら時代や、飲み方、作り方、流行の茶葉が変わっても
中国茶は今でも愛されつつ、人々の精神と健康面に大きく貢献していることには変わりありません。
深まりゆくこの秋の始まりに、まずは安全で美味しい東方美人茶を愉しんでみませんか。
新しい発想が浮かんでくるかもしれません。
秋の食卓に、是非、果物のように甘い芳醇な後味をともにお楽しみ下さい。
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