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「いいお茶は、いい畑から」 | 華泰茶荘

「いいお茶は、いい畑から」

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 最近、「いいお茶は、いい畑から」という宣伝文句が駅のポスターなどでよく見られます。
 いいお茶は確かにいい茶畑から生まれるものだと思います。

 ところで、いい茶畑とはどんな茶畑でしょうか。
 多くの方のイメージは、宣伝ポスターにあるように、人工的で厳密な管理の下に整備され、茶木の高さと幅が見事に揃ったベルト状の茶園です。写真写りも非常に綺麗で、見た目もとても良いです。

 整然とした綺麗な茶畑は見た目にもとても気持ちが良いものし、しかも大量生産がしやすく、農家の利益も確保しやすいです。しかし、茶葉が密集している茶畑は、実は通気性が悪く、昆虫が繁殖されやすいために、農薬を使用しないというのは殆ど不可能なのです。また、生産効率を追求するために、肥料も過剰に使用する恐れがあります。
 
 茶木の根が吸収しきれない窒素肥料や農薬は結局地下水や川に流れ、環境への汚染問題が心配されるのです。表面上綺麗であっても実は環境にはよくないです。生産者にとって都合がいい茶畑になっているだけなのです。

 さて、このような茶畑はいい茶畑なんでしょうか。

 私は、本当のいい茶畑とは大自然と共生するものであるとずっと思っています。いい茶畑は、生産効率の追求一辺倒ではなく、環境と調和しながら、自然の力で如何にいい茶葉が育てられるかが重要視されるものだと思います。つまり、茶畑の外観よりも茶葉の中身の方が大事なのです。消費者にとっていい茶畑とは、より茶葉が美味しく育つということなのです。

 中国茶旅行の際にたくさんの茶畑を見学しました。印象に残ったいい茶畑は、武夷山の正岩茶、正山小種、宋種単叢などを育てている茶畑。いい茶畑に共通しているのは、昔から農家代々に大切され、生産量を過大に追求せず、農薬や肥料を出来る限り使用しないで、自然の力を活かして茶葉を育てていた茶畑です。
 厳しい自然環境で成長した茶葉は、天地のパワーを最大限に吸収して作り上げられた大自然の恵みです。この茶畑は、写真写りはよくないかもしれませんが、実は環境にやさしく、最高に美味しい茶葉が生産できる茶畑であるということが言えます。
 
 「いいお茶は、見映えのよさに関係せず、自然のままの茶畑から」ではないでしょうか。
 
 心を込めてお茶を入れれば、大自然と一体感を味わう「天人合一」の気持ちが自然に湧きあがることでしょう。是非、写真うつりのいい茶畑のお茶ではなく、真の意味で「いい茶畑」で育てられたお茶を一度味わってください。
 自分や家族の健康のため、ひいてはエコロジー、地球環境のために。
                                         林 聖泰

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