また、故宮博物院に展示されている作品を見てみましょう。
清代の陶磁器作品には、西洋的な「満彩」と、いかにも東洋的な「留白(余白)」との技法がどちらも見られます。同じように山水画においても、「写実」の手法を用いてもいいし、「写意」の手法を取り入れてもいいです。
しかし、ここで強調したいのは、実は美しさを構成しているのは、「絵柄」の部分と「空白」部分のバランスだということです。
ここでもやはり「絵柄」の部分が「実」で「空白」の部分は「虚」だと言えるのです。
「バランスの良い空白」「美しい余白」という概念は、特に東洋風の作品の中に顕著に見られます。
「空白」があるからこそ、全体の均整がとれ、描きこまれた絵が際立ってみえるのです。
林 聖泰