店主書下ろしの新連載『中国茶物語』第1回は、映画のタイトルにもなっている『闘茶』についてです。
宋の時代、中国では、茶文化がとても盛んになり、宮廷から庶民まで幅広く中国茶が親しまれていました。
皇帝専用の「龍鳳団茶(龍と鳳凰の模型で作られた皇室専用の蒸青緑茶)」が誕生し、宮廷、廟寺、文人茶会の中に「茶宴(ティーパーティー)」の風習が登場し、やがて盛ん行われるようになりました。
そんな時代背景の中、より優れた「皇室献上茶」を得るために民間の間で大流行したのが、「闘茶(とうちゃ)」という茶風習です。「闘茶」は、別名「茗戦」、つまり、茶葉の良し悪しが1つの戦いとして真剣に勝負するという「茶コンテスト」と言えます。
宋代の大文豪、范仲淹の「和章岷從事闘茶歌」作品の中の言葉が「闘茶」のことを実にうまく描写しています。
「勝若登仙不可攀、輸同降将無窮恥」
つまり、
「勝つのは仙人になることと同じくらい難しいし、
負けるのは敗戦した将軍と同じくらい大きな恥であった」
という事です。
熾烈な「闘茶」の様子がうまく伝ってきますね。
「闘茶」は、現在の「評茶(テイスティング)」と似ています。現在、「評茶師」は、中国の国家資格として存在しています。
闘茶で優勝したお茶は、現代では、茶葉コンテストで受賞したお茶に置き換えることができます。