茶言観色1 「世界一の緑茶生産国」の顔があまり見えない中国

2014年度の中国統計資料を見ると、中国茶の生産量がついに200万トンの大台を超え、209万5700トンになりました。茶葉業界的にも大きく注目され、伝統ある中国茶市場も大きく変貌し続けています。
2014生産量

生産量詳細の割合を分析すると、約64%の緑茶、13%の黒茶、12%の烏龍茶(青茶)、10%の紅茶、そして合計1%の白茶と黄茶となることがわかりました。

年間約8万3千トンの緑茶生産量を持つ日本と同じように、中国大陸は緑茶中心の生産国です。しかも、日本の6倍以上、年間133万トンの生産量の、超巨大な緑茶生産国となっています。

しかし、なぜ中国は「緑茶大国」というイメージが、これほど強くないのでしょうか。

これは、いままでの生産量は、ほとんど中国の国内需要を満たすことに精一杯だった為、海外輸出にあまり本腰を入れていませんでした。特に長江流域の地方に旅行する時、テーブル上のお茶は、ほとんど緑茶しか見ることが出来ません。

欧米諸国に輸出する際、東インド貿易会社にとっては、新鮮な緑色が保存しにくい緑茶よりも、長距離の運搬と保存に強い紅茶のほうが、都合が良いと言われています。また、中華街やチャイナタウンで食事をすると、ほとんど烏龍茶が出されます。これは海外華僑の出身者の多くが、中国東南地域の福建省と広東省のためです。自分の故郷の烏龍茶を、海外の新天地に広げるのは、極普通な流れと言えます。

これが、生産量の多い緑茶より、紅茶や烏龍茶のような発酵茶が、海外に知られる理由かもしれません。

(文・写真=林聖泰)

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