2015年7月末、中国茶文化協会から依頼を受け、中国茶愛好家を2500mの台湾梨山を案内してきました。現地の最新情報の視察と幻の梨山烏龍茶を自分達で作るのが目的です。
貸切バスで台湾中央山脈の谷間を抜けると、海抜の上昇とともに、空気が澄んで甘く感じられます。バスに揺られること5時間、2000mの坂道を越えると、車のエンジン音が一段と大きく響き、窓外の空気も薄くなり、そこに広がる雲上の景色はやはり別格でした。
地質と気候に恵まれているため、梨山地域は、有名な高冷烏龍茶のほかに、高山キャベツや桃・梨も美味しく、評判が高いです。
しかし、ほとんど平地がないため、45度を越える山の傾斜面での栽培に励んでいる原住民達の努力は、大変なものだと、心から感心します。
2015年早春は、出たばかりの新芽と若葉が霜で凍傷にあい、生産量が平年の約半分しかない状態になり、農家達は大きな被害を受けました。台風や水不足や土石流などの被害によくあうにもかかわらず、茶農家の友人は、いつも楽観的で笑顔で話してくれます。
農作物は天・地・人の運と努力の組み合わさった結晶なので、人間の努力だけで必ず良い結果をもたらすとは限らないのです。
喧騒な都市に住む私たちと比べると、きっと厳しい大自然に対する敬意や環境共生への思いやりが強く、理解が深いのだと感じています。
【梨山烏龍茶】
〜海抜2300mの極上風味〜
店主 林聖泰(=文・写真)