烏龍茶の製法は、不発酵の緑茶と全発酵の紅茶の製法を両方とも取り入れなくてはいけないため、高度な技術が要求され、非常に複雑なものだと言われています。
生葉の原料を工場に運んだ後、すぐに太陽光を利用して「日光萎凋」を行い、茶葉内の水分を蒸発させ、茶葉組織の柔軟度を高め、酵素を活性化して、烏龍茶発酵の前準備を整えます。
そして、室内に「揺青と静置」を含む、烏龍茶製造過程の中でも、難しいとされる「做青」プロセスは約12−18時間をかけ、烏龍茶特有の香りと味の風味がゆっくりと作られます。
この長い「做青」は、烏龍茶の良い香りと美味しさを決定づけるするゴールデンタイムと言えます。
今回の梨山烏龍茶の製茶体験では、参加者の意思によって、「清香」「花香」「果香」三つグループに分けられ、それぞれの異なるやり方を指示しました。
「清香」タイプは軽く攪拌する「揺青」と短時間に行う「静置」だが、「果香」タイプは2倍以上の時間と力加減をしなければなりません。
また、もし均一な力とリズムで万遍なくしなければ、バラツキが出て、雑味が生まれます。気温、湿度の変化とともに、茶葉の状況を合わせ、全身全霊で集中して、指先まで神経を研いでなければ良いお茶が作られないと言われています。
同じ原料・場所・時間でも、微妙な指先によってお茶の風味は大きく変わります。青臭から花果香まで、生渋から芳醇まで、製茶者の気持ちと体の動きによって大きく動きます。
同じ原料を用いて、同じ人間が同じ場所で同じ時間帯に作るとしても、夜を徹して行う「做青」の経緯によって、全く異なる香りと味の水色と風味を持つ、お茶が出来上がりました。
製茶は人生のように色々があり、人それぞれ異なるものになることが良くわかりました。
一つのお茶は一つの人生とも言えます。
店主 林聖泰(=文・写真)
【梨山烏龍茶】
〜海抜2300mの極上風味〜