令和8年熊本地震に寄せて―
二〇二三年、九州を歩いた日のこと
このたびの令和8年熊本地震により、お亡くなりになった方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族の皆さまに心よりお悔やみを申し上げます。被災されたすべての皆さまに、謹んでお見舞い申し上げます。
七月二十八日の夕刻、熊本県熊本地方を震源とする地震により、宇城市と氷川町で震度7を観測しました。八代市をはじめ県内の広い範囲で建物の被害が相次ぎ、いまも安否の分からない方の捜索が続いています。
救助、医療、復旧にあたっておられる皆さま、そして避難所を支えておられる皆さまに、深く敬意を表します。
二〇二三年、九州を歩いた日のこと
三年前の二〇二三年、私は九州を旅しました。
阿蘇では、外輪山にぐるりと囲まれた草原と、そこを渡っていく風の大きさに、しばらく立ち尽くしていました。火の山とともに生きる、という言葉が観念ではなく日々の暮らしなのだと知ったのは、あのときです。
菊陽町では、当時まだ建設の途上にあった台湾の半導体工場を訪ねました。
台湾に生まれ、日本に暮らす者として、二つの土地が新しい産業を通してつながっていく現場に立てたことは、忘れがたい経験でした。あの工場と、周辺で暮らし働く方々のご無事を願っています。
熊本城では、石垣に、二〇一六年の地震から一つずつ積み直された跡が残っていました。
崩れた石に番号を付け、元の石を、元の場所に、元の通りに戻す。気の遠くなるような仕事の、まだ途中でした。
その石垣が、また崩れたと聞いています。
あの石を積んでこられた方々の手のことを思うと、言葉が続きません。
そして何より覚えているのは、道を尋ねたときの、少し照れたような笑顔でした。
土地の恵みをいただく食事も本当においしかったのですが、記憶に残っているのは食べものそのものよりも、それを勧めてくださったときの声の調子のほうです。
だから今回のことを、遠い場所の出来事として受け取ることが、私にはできません。
台湾と日本のあいだにあるもの
一九九九年の九二一大地震のとき、日本から救助隊が台湾に入りました。
日本が大きく揺れるたび、こんどは台湾から支援が向かってきました。
今回も、発災当日の夜のうちに、台湾の消防当局が救助隊の派遣準備を完了させ、要請があり次第ただちに現地へ向かう態勢をとったと伝えられています。
台中市は義援金の拠出を表明し、高雄市も派遣の準備を整えたと報じられました。台湾国内でも、コンビニエンスストアなどで募金の受付が始まっています。
そして、これは偶然のことですが──
地震が起きた二十八日の午前、熊本県知事は台中を訪れ、市長と面会しておられたと報じられています。台湾と熊本は、産業だけでなく、人の行き来によって、すでに結ばれていた。
そう思うと、胸に迫るものがあります。
国と国、という大きな言葉の前に、まず人と人の往復があります。
茶もまた、その往復のかたちのひとつです。
急須をはさんで座り、湯が沸くのを待つあいだの、あの少し間の抜けた時間には、言葉の少なさを補ってくれる何かがあります。
私はこれまで、その時間を通して、台湾と日本の多くの方々に出会ってきました。
暑さと余震のなかで、どうかご無理をなさらず
いまの熊本は、余震と真夏が重なっています。
専門家は、避難所や車中での熱中症に注意を呼びかけています。
- 喉が渇く前に、こまめに水分を。汗をかいたあとは塩分もあわせて
- 車中で夜を過ごす方は、ときどき足を動かし、体を伸ばしてください
- ご高齢の方、小さなお子さま、持病のある方には、周囲からお声かけを
片づけを急ぎたくなる時期だと思います。
けれどいまは、ご自身とご家族の安全が何よりも先です。
どうか無理をなさらないでください。
いつか、また
阿蘇の草原、熊本の街、そして旅の途中で出会った皆さまの顔が、いまも浮かびます。
一日も早く、安全な水と、安心して眠れる場所が皆さまのもとに戻りますよう、そして捜索の続く現場に一つでも良い報せがありますよう、東京から願っております。
いつの日か、また熊本を訪ねたいと思います。
そのときは、どうぞゆっくりと、一杯のお茶を。
林華泰茶行 ・ 華泰茶荘 五代目店主 林 聖泰
※メルマガ「茶言観色」7月29日号の発行が延期。
【お知らせ】
台湾からのEMS発送について
2026年7月29日時点
令和8年熊本地震の影響により、日本郵便は、熊本県を発着する「ゆうパック」「ゆうパケット」「ゆうメール」の引き受けを7月28日から当分のあいだ停止しています。
郵便物の引き受けは継続されていますが、同地域宛てのお届けには遅れが生じており、九州地方を中心にその他の地域でも遅延の可能性があるとされています。
これに伴い、台湾よりEMSで発送する商品につきましても、熊本県および九州方面へのお届けに遅れ、または一時的な保留が生じる見込みです。
該当するご注文につきましては、当店より個別にご連絡いたします。
お待ちいただくことになり誠に恐縮ですが、配送に携わる皆さまの安全確保を最優先とし、状況を見ながら順次対応してまいります。
最新の取り扱い状況は、日本郵便の公式発表をご確認ください。
日本華泰茶荘より

