夕陽に染まる海を見下ろし、翼の先が黄金の光をすくい上げる。機内の静けさの中で、そっと胸に手を当てました。
188日の入院、200日の在宅看護──合計388日間を父の側で過ごした日々。治療も介護も、毎日が選択の連続で、選んだ瞬間に道は一方通行になりました。それでも不思議と、投げ出すより先に「学びたい」が立ち上がってきたのです。人に頼ること、任せること、言葉を尽くすこと。今日を大切にすること。
父の手の温度、呼吸のリズム、窓辺の光。そこにお茶が一杯あるだけで、時間は少しだけ優しくなりました。愉しむお茶の時間は、悲しみを消すのではなく、悲しみを抱えたまま前へ進む力をくれました。
昨日は父の誕生日。もう「緊急帰国」の理由はありません。胸いっぱいの寂しさと、溢れる感謝を抱いて、私は久しぶり日本へ戻ります。五代目店主として、父から受け取った茶縁を次へ繋ぐために。
新年茶会をはじめ、学びの場も再び動き出します。止まっていた時間の底から、もう一度。空に会える日まで、私は一杯一杯を丁寧に淹れながら歩いていきます。
(文・写真 五代目店主 林聖泰)
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