それは牛肉麺でも小籠包でもありません。
台湾へ戻って二日目。
気温は35℃。
照りつける太陽は容赦ありませんが、この暑さこそが「台湾の夏」です。
日本では、「台湾に行ったら牛肉麺」「小籠包」「夜市」と思われる方が多いでしょう。
もちろん、それも台湾の魅力です。
でも、私が帰国すると真っ先に食べたくなるのは、実は街角の甘味なのです。
今回も迷わず向かったのは、小さな冰品(台湾かき氷)の店。
器の中には、台湾の夏がぎっしり詰まっています。
ほくほくと甘く炊いた蜜芋頭(蜜漬けタロイモ)。
九份名物として知られる、もちもち食感の芋圓(タロイモ団子)。
爽やかな香りが広がる仙草ゼリー。
そして、日本ではまだあまり知られていない台湾ならではの食材、愛玉(オーギョーチ)。
実は愛玉はゼリーではありません。
台湾固有の植物「愛玉子」の種を布袋に入れ、水の中でもみ洗いすると、天然のペクチンが溶け出して、ゆっくりと透明なゼリー状に固まります。
人工的な凝固剤を使わない、昔から台湾で受け継がれてきた夏の知恵なのです。
さらに、食卓には旬の果物。
とろけるように甘い愛文マンゴー。
みずみずしいライチ。
台湾が「フルーツ王国」と呼ばれる理由を、一口食べれば誰でも実感できます。
私はいつも思います。
旅の醍醐味は、有名店を巡ることだけではありません。
市場を歩くこと。
スーパーをのぞくこと。
果物屋さんを眺めること。
そして、地元の人で賑わう甘味店に入ってみること。
そんな何気ない日常に、その土地の文化があります。
そして一日の終わり。
家かホテルでテレビを見ながら、お気に入りの台湾茶をゆっくり淹れる。
身体は冷たい甘味で涼み、心は一杯のお茶で落ち着いていく。
私にとって台湾の夏とは、
この一碗の冰と、一杯のお茶なのです。
(文章・写真:華泰茶荘・林華泰茶行 五代目店主 林 聖泰 より)
店主からひとこと
台湾へ来られたら、ぜひ有名レストランだけでなく、
街角の甘味店や果物屋さんにも立ち寄ってみてください。
そこには、ガイドブックには載っていない、本当の台湾があります。
そして最後は、ぜひ一杯の台湾茶で旅を締めくくってください。
それが、五代目店主おすすめの台湾の楽しみ方です。
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