このごろ、店頭でいちばん多い質問の一つが、これです。
「最近、中国産の抹茶も増えてるって聞きました。日本のと、何が違うんですか?」
抹茶は日本茶ですから、林華泰茶行・華泰茶荘からは、少し離れた畑の話です。
それでも、お客さまがこれだけ気にされるのには理由があります。
世界じゅうが「Matcha」に沸いて、同じ名前のもとに、品質も値段もまるで違うものが並ぶようになったからです。
今日は、製茶の現場を受け継いだ五代目・店主の立場から、できるだけやさしく整理してみます。
まず押さえたい、たった一つの違い
抹茶には、実は国際的な定義があります。
国際標準化機構(ISO)の抹茶の技術文書では、おおよそこう位置づけられています。
覆いをかけて育てた茶葉を、蒸して、揉まずに乾かし、細かく挽いたもの。
肝は最初の「覆いをかけて育てる」。
日光をさえぎることで、渋味を抑え、うま味のもとであるアミノ酸(L-テアニン)を蓄える。
あの甘みと深い緑は、この一手間から生まれます。

ですから、覆いをかけずに育てた葉をただ挽いた「緑茶の粉末」は、どんなに緑が鮮やかでも、本来の抹茶とは生まれが違う、ということになります。
海外では前者を「セレモニアル」、後者を「パウダード・グリーンティー」と呼び分け始めています。
なぜ今、こんなに話題なのか
理由はシンプルで、世界の需要に日本の供給が追いついていないからです。
2025年の日本の緑茶輸出額は約720億円。
前年からほぼ倍増し、6年連続で過去最高を更新しました。
その多くが抹茶を含む粉末状の緑茶です。
の碾茶は覆い下栽培という手間のかかる茶で、急には増やせません。
その空白を、中国・貴州省の銅仁などの量産拠点が突いて、
欧米に販路を広げている――というのが、いまの構図です。
そして日本側は、「日本茶」という国全体を産地とするナショナルGI(地理的表示)の登録を目指して動き出しました。2026年5月に発表があり、最短で6月下旬ごろに登録される可能性が報じられています。
実現すれば、国内で栽培・加工まで仕上げた緑茶だけが、保護された名称を名乗れるようになります。
店主として、いちばん伝えたいこと
ここまで読まれて、「結局、どれを選べばいいの?」と思われるかもしれません。
私の答えは、いつも同じです。
値段の数字ではなく、〈香りの層〉と〈旨味の余韻〉で選んでください。
ひと嗅ぎで終わる香りか、
花・青葉・覆い香と層が見えるか。
飲み込んだあと、甘いうま味がどのくらい続くか。
短ければ量産寄り、長く残れば上質のしるしです。
これは抹茶にかぎった話ではありません。
台湾茶でも、中国茶でも、評茶の”ものさし“はまったく同じように働きます。
一度この目が身につくと、お茶選びは驚くほど楽になり、そして楽しくなります。
ただ、この「目」は、文章だけでは育ちにくいのも事実です。
やはり、何種類かを並べて飲み比べ、違いを舌で確かめる時間がいちばんの近道です。
飲み比べで「目」を育てる場をご用意しています
楽茶塾
数種類のお茶を並べて飲み比べ、香りと味の違いを五感で確かめる、人気の少人数講座です。テーマごとに貴重な茶を取り揃え、私が解説しながら進めます。
◎8月2日楽茶塾
【地図と風味輪で旅する「風味を言語化」茶ソムリエ体験】
〜冷泡・鑑定杯・工夫茶で楽しむ、六つの台湾茶飲みくらべ
- 会場:日本華泰茶荘 渋谷店3階 華泰茶藝館
- 参加費:5,500円(税込)/約2時間
- 講師:林聖泰(林華泰茶行 五代目/日本華泰茶荘 店主)
台湾茶・中国茶のプロ養成講座(土日2日間集中)
◎台湾茶・中国茶のプロ養成講座(7月11-12日@渋谷・華泰茶藝館)
茶葉の分類から、おいしい淹れ方、茶藝の基礎までを体系的に学ぶ集中講座です。
初心者の方から、仕事でお茶を扱いたい方まで。
- 受講後、NPO中国茶文化協会認定「中級中国茶アドバイザー」資格が取得可能
- 「台湾茶・中国茶インストラクターコース」への受講資格、修了証書も
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▶ 直近の開催日程・お申し込みは、
日本華泰茶荘の公式サイトの講座案内をご覧ください。
「知っている」から「語れる」へ。
店頭でお会いできるのを楽しみにしています。
林華泰茶行・華泰茶荘 五代目/日本華泰茶荘 店主 林 聖泰

