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中国にも「紅茶」がある ── 紅い茶湯がほどく、もう一つの中国茶

華泰茶荘 五代目店主ブログ・Chatea5代目茶論/林 聖泰

 中国茶というと、烏龍茶か龍井のような緑茶、あるいはプーアル茶を思い浮かべる方が多いと思います。
 でも、もしいま「いちばん面白い中国茶は?」と聞かれたら、私は迷わず中国紅茶を挙げます。
 世界の紅茶の源流であり、しかも国内市場ではいま、いちばん勢いよく姿を変えている茶類だからです。

目次

まず、結論から

 中国の「紅茶」は、英語でいう Black tea と同じ茶類です。
ただ「濃くてミルクに合う茶」ではありません。

 「萎凋 → 揉捻 → 発酵 → 乾燥」という工程のなかで、生葉の青い香りが花香・果香・蜜香へと変わり、茶湯は橙紅から紅亮へ、滋味はやわらかな甘みを帯びていきます。

 ここでいう「発酵」は、プーアルのような微生物発酵ではなく、茶葉の中の酵素がはたらく酸化のことです。同じ「発酵」でも中身がまるで違う ── ここを押さえると、中国茶の見え方が一段深くなります。

大きく三つに分けて見る

中国紅茶は、まず三つに分けると整理がつきます。

  • 小種紅茶
    福建・武夷山に由来する系統。
    正山小種が代表で、世界の紅茶の入口にあたります。松煙香をもつ伝統型もあります。

  • 工夫紅茶
    精細な揉捻・発酵・精製を重ねた条形の紅茶。
    祁門紅茶、雲南紅茶(滇紅)などがここ。淹れ方を指す「功夫茶」とは別物です。

  • 紅碎茶
    細かく加工され、抽出が早い紅茶。
    ブレンドやティーバッグ向き。

 産地が変われば、品種も、標高も、気候も、製法も変わります。

安徽の祁門紅茶には、繊細で奥行きのある「祁門香」。
雲南の滇紅(てんこう/雲南紅茶)には、大葉種ならではの厚みと蜜香。
福建の正山小種には、伝統的な松煙香。
広東の英徳紅茶には、明るく華やかな花果香。

──同じ「紅茶」という二文字でありながら、その一杯には産地ごとの風土と職人の技が映し出されています。

なぜ、いま面白いの

中国はいまも緑茶大国です。

けれど中国茶葉流通協会の集計では、
2023年の生産量構成比は緑茶57.91%、紅茶14.71%、黒茶13.71%で、紅茶は緑茶に次ぐ第2位。

 国内では新式茶飲、ミルクティー、冷茶、香りを楽しむストレートと、飲まれ方も大きく広がっています。
 輸出だけ見れば中国茶は緑茶中心ですが、国内消費と若い世代の飲み方まで含めると、紅茶はこれからますます存在感を増すはずです。

産地で選び、評茶の眼で見極める

 私が中国紅茶をおすすめするのは、専門的でありながら、はじめての方にも親しみやすいからです。

 香りは甘く、茶湯は美しく、渋みは比較的おだやか。熱湯でしっかり、少し低めの温度で香りを引き出して、冷茶にして ── どの淹れ方でも楽しめます。

 華泰茶荘では、私が台湾と中国の産地を実際に歩き、評茶台で見極めた茶だけをお出ししています。文献やうわさではなく、現場で確かめた一杯を。

 店頭はもちろん、台湾本店からのEMS直送でも、気になる産地の紅茶がありましたら、どうぞお気軽にお声がけください。「祁門紅茶と滇紅を飲み比べてみたい」「中国紅茶の産地ごとの違いを学びたい」といった、楽茶塾や講習会テーマに関するご相談も歓迎しております。

 次に紅茶を選ぶときは、ぜひ「産地」「製法」「香りの質」に目を向けてみてください。

 一杯の紅い茶湯の向こうに、福建の山、安徽の霧、雲南の大葉種、そして世界へ広がった茶の歴史が、静かに重なって見えてきます。
(写真・文:林華泰茶行・華泰茶荘五代目 林 聖泰)

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林華泰茶行・華泰茶荘 五代目 林聖泰/1842年 茶業の起こり、1883年 『林全記商行』を旗揚げ(林華泰茶行 創業)。台北・大稲埕の茶業の系譜に五代、海を越えて。

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