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台湾旅行③ 牛肉麺だけで台湾を語るのは、まだ早い。

目次

台北駅から歩ける、100年前の建築散歩と一杯の台湾茶

台湾に帰って三日目。
前日は、台湾の夏らしい甘味、芋頭、芋圓、愛玉、仙草、
そして旬の果物にすっかり心を奪われました。

では、二日目は何をしたのか。
答えは、台北の街を歩くこと。
しかも、ただの街歩きではありません。
今回は、台北駅から少し南へ歩いたところにある、「博愛特区」を歩いてきました。

観光で台湾を訪れる方の多くは、夜市、牛肉麺、小籠包、九份、故宮博物院へ向かわれると思います。
もちろん、それも台湾の大きな魅力です。

でも、台湾を何度も訪れている方にこそ、ぜひ歩いてほしい場所があります。
それが、台北の中心部に残る近代建築のエリアです。

台北の真ん中で、時間がゆっくり巻き戻る

博愛特区を歩くと、不思議な感覚になります。

周囲には現代的なビルが立ち並んでいるのに、少し角を曲がるだけで、
突然、時間が100年前に戻ったような空気が流れ始めます。

重厚な石造りの建物。
高く伸びる列柱。
細かな装飾が残る外壁。
南国の強い日差し。
そして、その建築のまわりに茂るヤシの木や濃い緑。

この組み合わせが、実に台湾らしいのです。
ヨーロッパ風の建築なのに、空はどこまでも青く、植物は力強く、湿度のある風が吹いている。

日本でもなく、ヨーロッパでもない。
ここにしかない、台湾の近代建築の風景です。

国立台湾博物館──南国に建つギリシャ神殿

今回の写真にもあるように、国立台湾博物館の正面に立つと、まず目に入るのは大きな列柱です。

青空に向かってまっすぐ立ち上がる白い柱。
正面の階段。
堂々とした三角形の破風。
まるでギリシャ神殿のような姿ですが、その背景には台湾の青い空と南国の緑があります。

この違和感こそが、実は台北の面白さです。
台湾の街には、さまざまな時代の記憶が重なっています。

清代の街並み、日本統治時代の近代建築、戦後の行政建築、そして現代の高層ビル。
一つの街の中に、いくつもの時間が折り重なっているのです。

お茶も同じです。
一杯の台湾茶にも、品種、産地、製法、焙煎、保存、飲み手の記憶が重なります。

街を歩きながら、私はいつも思います。
台湾を知ることは、時間の層を味わうことなのだと。

台湾銀行、土地銀行、中山堂──街に残る「昭和モダン」の気配

博愛特区を歩いていると、金融機関の古い建物にも出会います。
台湾銀行や土地銀行の建物は、ただ古いだけではありません。

そこには、当時の社会が建築に込めた「信用」「権威」「公共性」が表れています。
石の壁。
太い柱。
左右対称の構図。
銀行という場所に求められた重厚感が、建築そのものから伝わってきます。


そして中山堂。
こちらは、古典的な装飾の多い建物とは少し違い、
より直線的でモダンな雰囲気を持っています。
昭和初期のモダン建築の空気が残り、どこか映画のワンシーンのようです。


台湾の面白さは、こうした建築が「博物館の中」だけに閉じ込められていないことです。
今も街の中にあり、人が通り、風が抜け、日常の一部として残っています。

床を見ると、台湾の職人仕事が見えてくる

今回、私が特に心を惹かれたのは、建物の外観だけではありません。
足元です。

廊下の床には、円形や植物文様の美しい装飾が残っていました。
一見すると何気ない床ですが、よく見ると非常に丁寧な仕事がされています。
こうした床や壁の質感には、台湾の職人たちが受け継いできた左官、石材、タイル、洗い出しの技術が感じられます。


華泰茶荘の空間にも、私は同じようなものを感じます。
豪華な宮殿のような建築ではありません。
けれど、壁や床の質感、光の入り方、古い建物に残る空気には、
時間が育てた味わいがあります。

良いお茶も同じです。
手な香りだけではなく、時間と手間をかけたものには、奥行きが生まれます。

建築もお茶も、急いで作ったものは、どこか悪くなります。
長く残るものには、やはり理由があります。

台北の建築散歩の最後は、やっぱり一杯の台湾茶

炎天下の台北を歩くと、身体はかなり疲れます。
でも、古い建物の陰に入ると、石のひんやりした空気に救われます。

そして一日の終わりには、やはり一杯の台湾茶が欲しくなります。
街歩きで見た建築の記憶。
石の柱。
古い床。
南国の植物。
青い空。

それらを思い出しながら、茶杯を手に取る。
この時間が、私にとっての台湾旅行の楽しみです。

台湾は、食べるだけでも楽しい場所です。
でも、少し歩いて、少し立ち止まって、建物を見上げてみると、
台湾はもっと深く、もっと面白くなります。

次に台北へ来られる方は、ぜひ「博愛特区」を歩いてみてください。
そしてその後は、台湾茶でゆっくり喉を潤してください。

台湾の旅は、歩いて、見て、食べて、最後にお茶を飲むことで、
ようやく一日が完成するのです。
(華泰茶荘・林華泰茶行 五代目店主 林 聖泰 より)

店主からのひとこと

台湾リピーターの方にこそ、次は「建築さんぽ」をおすすめします。
台北駅から歩ける距離に、100年前の台湾の記憶が今も残っています。

「博愛特区」とは、総統府を中心に政治・行政・金融の歴史的建築が集まる、
台北の中でも特別なエリアです。
日本でいえば、霞ヶ関と永田町を合わせたような場所。
けれど、そこにあるのは硬い官庁街だけではありません。

赤レンガの総統府、列柱が美しい国立台湾博物館、重厚な台湾銀行、足元に残る床の装飾。見上げれば100年前の台北、足元を見れば台湾の職人技。
そして少し歩けば、現代の台北の日常がすぐそこにあります。

華泰茶荘本店は、博愛路69号。
この歴史ある街並みの中で、皆さまを一杯の台湾茶とともにお待ちしています。
建築散歩の余韻を、ぜひ台湾茶の香りでゆっくり締めくくってください。

『茶風味輪・国際評茶師講座』、今年始動。
https://www.chinatea.co.jp/chatea-blog-20260705/

 もっと深く学びたい方へ——


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