緑茶・烏龍茶・紅茶を分ける「天地人」の話し
先に結論を。
緑茶も烏龍茶も紅茶も、
もとは Camellia sinensis(カメリア・シネンシス)という、
ほぼ一種類の植物からできています。
味を分けているのは木そのものではなく、
天(気候)・地(土と品種)・人(製茶の技)、そして少しの運。
お茶選びがぐっと面白くなる切り口なので、店主の現場感覚を交えて手短にご紹介します。

天 ── 「高山出好茶」
高い山で育った茶葉は、昼夜の寒暖差と雲霧のおかげで、
生育がゆっくり進み、香りのもとがたまりやすい。
台湾の高山烏龍があの澄んだ甘い香りをまとうのは、まさに「天」の恵みです。
地 ── 土と、品種という個性
茶樹は弱酸性のやわらかな土を好みます。
武夷岩茶の「岩韻(がんいん)」と呼ばれるミネラル感は、岩盤が風化した土壌から。
そして品種は無数にあり、それぞれ「向く製法(適製性)」が違います。
ここで大切なのは、台湾の品種と中国・福建の品種をいっしょにしないこと。
同じ烏龍向きでも性格が違います。
人 ── 一つの品種から、いくつもの茶へ
同じ茶葉でも、酸化のさせ方ひとつで別の飲み物になります。これが六大茶類です。

| 茶類 | 酸化/発酵 | 代表例(中国・台湾) |
|---|---|---|
| 緑茶 | ほぼなし | 龍井、碧螺春 |
| 白茶 | ごく弱い | 白毫銀針 |
| 黄茶 | 弱い | 君山銀針 |
| 青茶(烏龍茶) | 半発酵 | 安渓鉄観音、武夷岩茶、高山烏龍、文山包種 |
| 紅茶 | 全発酵 | 滇紅(雲南紅茶)、台湾紅玉紅茶(台茶18號) |
| 黒茶 | 微生物による後発酵 | 普洱茶(熟茶) |
たとえば「鐵觀音(てっかんのん/Camellia sinensis var. sinensis)」という
品種ひとつとっても、作り方しだいで烏龍茶にも、さらにその先へも姿を変えます。
品種を入口に、お茶の世界はどこまでも枝分かれしていくのです。
祖父の言葉「ひと掴みで茶を見抜く」

私の祖父・林大村は、ひと掴みで茶の良し悪しを見抜くと言われた茶人でした。
その背を追って思うのは、お茶は「有名な作り手の名前」で選ぶより、
茶葉そのものを見る目を持てたほうが、ずっと楽しいということ。
緑茶に淹れてレモンを垂らすと桃色に変わる台湾初の紫芽品種「紫韻(台茶25號)」のような“はみ出し者”に出会えるのも、その目があってこそです。
お茶を見る目を、いっしょに養いませんか
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(文章・図表・写真:日本華泰茶荘 五代目店主 林聖泰)

